活動報告一覧
全瓦連技能グランプリ2012長野大会
2012年03月31日
全瓦連技能グランプリ2012長野大会
平成24年3月23日(金)~25日(日)
長野県松本市 松本市総合体育館アリーナ
見学研修会 会員参加者3日間述べ108名 出場選手2名
若手瓦葺き職人が“技能日本一”を争う「全瓦連技能グランプリ2012長野大会」が3月23日(金)~25日(日)の3日間にかけ、松本市総合体育館アリーナで開催されました。社団法人全日本瓦工事業連盟(全瓦連・東京都)が隔年で開催しております今大会は、第5回大会、「全国技能グランプリ」と合わせると31大会目にあたり、長野県では初開催となりました。9都府県の1級技能士11人が出場。当甍会からは、兵庫県代表大谷毅選手、三重県代表樋口淳司選手の2名が出場しました。この競技は準備作業から3日間で計8時間40分を掛け、幅2.7メートル、長さ3.6メートルの凹状屋根課題に瓦を葺き上げます。技能グランプリは、日頃培って来た技能を発揮する場所として、最高の舞台であり、出場選手は皆技能者としての誇りと、都府県代表としての期待を一身に受け戦うことになります。プレッシャーで押しつぶされそうな緊張が漂う会場内では、瓦を切る鏨と金槌の音が鳴り響いておりました。
大会のコンセプトを技能の継承、後継者育成と位置付けられているグランプリ大会は、次世代を担う若者たちにスタートとして「瓦」に対する興味を抱かせ、「瓦」の先に将来を見据える事の意義を訴えています。
それは、瓦文化を担う若手技能者が夢を持ち、将来においては継承者という立場から、次代の技能者を育成する立場となり、文化継承の根幹である「人作り」の一助と成って行く事を求めています。
見学研修参加者の中には、次回大会、その先に出場をと心に決め見学に参加している会員も居り、代表選手たちの競技風景に熱い眼差しを注いでおりました。
また、過去の大会に代表として参加した会員たちの中には、旧交を温める姿も見られ、同窓会的な和やかな雰囲気が、其処此処で繰り広げられておりました。
大会は歓喜に包まれる中、栃木県代表選手の優勝で幕を閉じ、当甍会会員の入賞はなりませんでしたが、心ある技を披露してくれました。
会員たちの3日間に及ぶ見学研修では、改めて後継者育成の大切さを認識、次回開催予定の千葉県幕張に移っても熱い競技会が繰り広げられる事を期待して、会場を後にしました。尚、入賞県は以下のとおりです。
国土交通大臣賞 栃木県代表 厚生労働大臣賞 群馬県代表
総務大臣賞 福岡県代表 長野県知事賞 岐阜県代表
全瓦連敢闘賞 長野県代表 全瓦連敢闘賞 京都府代表
平成24年度 初級伝統的瓦葺技能研修会
2012年03月22日
平成24年度 初級 伝統的瓦葺技能研修会 報告書
平成24年2月22日~25日の4日間、京都市右京区のコミュニティ嵯峨野に於いて平成24年度初級伝統的瓦葺技能研修会を開催しました。
昭和60年に故徳舛敏成塾長が全国の若者に「京都へ来たれ」の呼びかけではじめられたこの研修会も、今年で28回目を向かえ、東は栃木県から西は大分県まで、年齢も28歳から55歳までの方の15名による受講生と役員及び講師8名の計23名にて行いました。
初日は、午後より徳舛理事による「瓦の美」と題し、先人達より伝えられた瓦の納まりや、建物を含めた景観との調和について、スライドを交えて解説して頂き、瓦葺き技能者としての基礎と成る心構えを講演していただきました。
二日目からは、施工原寸図を描くために欠かせないテンプレートを作り、簡略瓦の軒先納まり図、棟納まり図を作成し、三日目からは、初日の図面より隅棟納まり図、壁熨斗納まり図を作成しました。又、3日間を通じ、夕食後はパソコンで施工図を描くためにJW-CADの使い方を勉強し、その後も夜遅くまで、施工写真や施工図をもとに各々の施工の考え方や事業所の在り方、私達瓦業会の在り方等、尽きる事のない瓦談議に花を咲かせました。
最終日は京都の智恩院にて見学会を行いました。講師にお招きした、社団法人 全国国宝重要文化財所有者連盟 事務局長の後藤佐雅夫先生の御好意により、特別公開の期間中にしか見学できない三門楼上内部や大鐘楼、経蔵の内部も拝見する事ができました。そして、午後より甍技塾徳舛瓦店内京都事務所にて閉講式を行い無事終了いたしました。
昨年発生した、東日本大震災や日本各地で起こった自然災害は、瓦業界の先人達が脈々と取り組んできた人材育成・技能の向上・仕事に対する心構えというものを改めて、私達「瓦」に携わる者一人ひとりに現実的な課題として、投げかけられている様な思いに駆られます。
講師を含めた23名の参加者全員がそんな投げかけに答えるべく、過ごした4日間であったと思います。
平成24年度 第3期 通常総会
2016年01月17日
平成24年2月5日(日)~6日(月)東京都新宿区 日本青年館に於きまして、平成24年度・第3期通常総会が開催されました。
全国各地で極寒に凍りつく2月の東京ではありましたが、ご来賓に、・亀井伸雄様((独)国立文化財機構 東京文化財研究所 所長)・山田勝雄様((社)全日本瓦工事業連盟 理事長)・澤元教哲様(㈱天峰建設 代表取締役社長 日本伝統建築技術保存会会員)をお迎えし開催。
東日本では大震災の影響、復興がまだまだ続く中、初めての東京都開催と言うことで、参加者減少が危惧されましたが、栃木県、茨城県、福島県からも会員の元気な姿を見せて頂き、再会を喜んでおりました。また、上程された議案の中には継続されて行く各研修会の他に、新たな試みとなる「文化庁委託事業への申請」や「講師セミナー」等が盛り込まれた事業計画や、次回総会の京都回帰など、7議案全てが承認可決され、無事総会が終了致しました。
総会後には当会の活動に対し多大なるご尽力を頂いた株式会社天峰建設社長 澤元教哲様 ・株式会社アマノコーポレーション社長 天野克一様 ・井上瓦産業株式会社社長 井上幸治様 ・野水瓦産業株式会社社長 野水隆雄様に対し感謝状と記念品の贈呈を行い、会より謝意を表しました。
また、今総会では、当会の活動にご理解を示された方々がオブザーバーでのご参加をいただき、活動に対して感銘を受け、2月22日より開催致します「初級 伝統的瓦葺技能研修会」に数名が参加をされるなど、大変有意義な会となりました。
総会後の第2部前半では、金沢工業大学 環境・建築学部 建築系建築学科 教授 博士(工学)の後藤正美先生をお迎えし、ご専門の『木構造/耐震工学』の観点より、今回は「震災に見る伝統建築構法と瓦」と題し特別講演をお願い致しました。震災や実験から得られたデーター等は、伝統構法の構造がいかに瓦との関係に密接であり重要か、また、重さを利用する復元力やねばりを評価するには、軸組の仕口のは働きと供に、土壁のもつ柔軟性との関係性が有る事など、我々がこれから先も「瓦」を生かすためには、伝統構法をきちんと理解し、伝統建築復権の今後につなげていく必要がある事を再確認出来る講演となりました。後藤先生は現在、国土交通省の3ヶ年プロジェクトである『伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験 検討委員会』の実験検証部会の主査も務められておられます。実際に伝統建築構法を使い瓦葺きされた民家を振動台で揺らし、壊れ具合や検証実験データを取りまとめ、実際の改修や新築で使える設計基準を作るという、今まで成し得なかった、日本建築文化の数値化に挑む壮大なプロジェクトの責任者の一人として本年9月にも再実験に入る模様です。この度の公演により出席者は、追い風が瓦業界にそして私たちに吹き始めていると感じたことでしょう。
第2部後半では、平成23年度より開始されました、中級 伝統的瓦葺技能研修会の報告が、北原副理事長よりなされ5月、7月、9月、11月の研修の模様を、プロジェクター映像を交え報告致しました。研修会に参加されていない会員やオブザーバーは、事業内容の濃さに改めて研修会の重要性や、これからの甍会の方向性を確認できたことと思います。
旧知を温める懇親会では各自の近況報告や、技能・技術論にテーブルの花の輪毎に盛り上がり、笑い声の絶えない親睦が繰り広げられておりました。また、総会の合間に投票をされた写真コンンクールでは、日々の研鑽の跡が見られる作品を皆が選び出し、福島県の金澤 勝也君が手掛けた居宅の作品には、すばらしい発想と施工に対する努力、そして提案力と行動力が認められ最優秀賞が授与されました。京都の徳舛理事よりの各写真講評では、瓦に対する姿勢や技能を発揮した箇所には的確な説明があり、一同は酌み交わす手も止まり耳を傾け、楽しい一時は駆け足で過ぎて行きました。
二日目 文化財見学研修では、雨の降る中、皇居東宮御苑や宮内庁庁舎、初めて目にする宮殿や、内側から見る二重橋など、貴重な建物を拝覧し、東京の喧騒とはかけ離れた神聖な空気の中、見学者は夢想空間にも似た大変有意義な時間を過ごすことが出来ました。浅草に移動後、浅草寺の伽藍見学。屋根の上は新旧の屋根材が混在する寺院とあって、古い瓦屋根が依り一層凛と際立って見え、瓦が景観に与える影響は大きいと感じ入りました。この感覚は一般の方にも何かしらの訴えをしているのではないかと思える雨の浅草寺で、一同解散となりましたが、被災会員の今後の更なる復興とご健勝、オブザーバーの皆様のご活躍を祈願し、会員の皆様とは次回総会、研修会での再会をお誓いして、無事2日間の日程を終了致しました。
ご参加頂きましたご来賓の皆様、会員の皆様、オブザーバーの皆様には大変感謝申し上げます。
24年度 初級 伝統的瓦葺技能研修会 開催のお知らせ
2011年12月25日
『NPO法人 日本瓦技能継承甍会 24年度 初級 伝統的瓦葺技能研修会』開催にあたり、一般より研修参加者を募集いたします。
参加希望者は群馬事務局まで「申し込み書希望」とお問い合わせください。
群馬事務局 〒370‐2212 群馬県甘楽群甘楽町福島1459《☎0274‐74‐2084 fax0274‐74‐2066》
『平成23年度 中級伝統的瓦葺技能研修会』活動報告11月 静岡会場
2011年11月29日
平成23年度 中級伝統的瓦葺技能研修会
日時 平成23年11月25日(金)~27日(日)
会場 株式会社 瓦粋 研修場
参加者 研修生 12名 オブザーバー参加者8名 内部講師 理事長以下6名
第1日目
・9時30分集合受付を開始し、会場セッティングならびに開会式を執り行う。
・3時限目 前回出された隅傘勾配の原寸図課題に対し理解度を確認するために検証、各棟断面図に移
るための準備へと取りかかり、初日がスタートしました。
4時限~10時限目、隅棟断面図では隅鬼瓦裏に縋りつくのし瓦の目地寸法の変化や、のし積み棟の法
勾配の変化、捨てのし瓦の段数決めから基本隅棟尻に掛けてのし瓦勾配変化の考察など、隅棟を施工
する際に重要になるポイントを講師より指導を受け、各班に別れて断面図作図に取りかかりました。
基本断面図が書きあがると、それに伴い破風尻に発生する納まり位置の考察が必要になるため、掛け
瓦と隅棟の接点の求め方から正面図に展開する作図方法の指導を受け、初日の講習が終了しました。
第2日目
・1時限目~4時限目 午前中を掛け前日から描き始めた破風尻納まり図を完成させるべく講師も受講者
も真剣に追い込みに入り、ピンと張りつめた空気の中集中して作図に取り組んでいました。特に隅棟
台面と掛け瓦唐草横接点位置、接点に関係する直下の妻丸芯と唐草接点の位置決めに苦慮しており、
午前中の時間だけでは足りない受講生に対しては自習・次回2月に行われる初級研修会時に補修を約
束し、午後の隅棟断面仕上げ・下り棟断面仕上げへと進んで行きました。各棟の断面図は実際の架台
施工に対し実際の納まりとして使用されるため、より正確な仕上がりが求められます。各々が確認し
合いながら班毎に作業を進めて行き2日目が終了致しました。しかし、時間内に終了出来なかった受
講生の中には、終了後も居残り、夜遅くまで自習に没頭し、遅れを取り戻そうと余念が有りませんで
した。
第3日目
・1時限目~6時限目 昨日書き上げられた隅棟断面図を基に隅棟姿図を書き起こすため、朝から架台に
対峙して隅棟の台面曲率を計測。班毎に計測の仕方も考察しながら実測弛み寸法を拾い出し、原寸に
描き起こして行きました。隅棟側面図の描き出しの注意点、のし瓦の勾配が変化することにより側面
から見る見え幅の変化や、捨てのし瓦の入り方、納まり位置の決め方や考え方など、様々な角度から
指導があり、受講者ならびにオブザーバー参加者も知識を吸収。隅棟側面図が終了した時点で講義は
終了しました。次年度より始まる架台施工に対しての注意点や自習の申し付け(書き上げ予定だった
原寸図の仕上げ)補習希望者に対しての対応を再度約束し、平成23年度 第4回 中級伝統的瓦葺技
能研修会、前期講習会の全日程が無事に終了致しました。